
投資物件の評価基準
投資物件の評価基準には、収益性を重視する収益還元法、取引事例を比較する取引事例比較法、土地と建物のコストを積み上げる積算価格(原価法)の3つの方法があります。
これら以外に、公示地価、路線価、固定資産税評価額などの公的指標や、空室リスク、利回りなどの物件固有の要素も評価の参考になります。
主な評価方法
収益還元法
【※ 不動産投資において、最も重視される評価方法の一つ】
対象物件から将来生み出されると予測されるキャッシュフローを、特定の割引率(キャップレートなど)で現在価値に割り戻し、その物件の適正な価格を算出する方法
取引事例比較法
類似する過去の取引事例と比較し、その取引事例の成約価格を基に、対象物件の適正な価格を決定する方法
原価法(積算評価法)
【※ 銀行の融資審査で重視されることが多く、金融機関の融資可能額を判断する際の参考になる】
土地と建物をそれぞれ個別に評価し、その合計額から建物の劣化による価値の減少分を減額して算出する価格
その他の参考指標
【※ 一物四価:土地の価格は「時価(実勢価格)」「公示地価(公示価格)/基準地価」「相続税評価額(路線価)」「固定資産税評価額」の4つの尺度で評価される】
- 実勢価格:市場で実際に取引される価格(時価)を指す
- 公示地価:国土交通省が毎年発表する、標準地の土地の価格
- 路線価:国税庁が発表する、主要な道路に面した1㎡あたりの土地の価格。相続税や固定資産税評価額の基礎となる
- 固定資産税評価額:税金計算の基礎となる価格で、一般的に路線価よりも低い価格
考慮すべき要素
- 空室リスク:特に人気エリアで立地が良く、築年数が新しいほどリスクが低いと判断される
- 利回り:投資物件から得られる収益性を示す指標となる
- 立地:交通アクセスや周辺環境は、物件の価値に大きく影響する
収益性の評価方法
収益性の評価方法は、企業が資本や売上をどれだけ効率的に利益に結び付けているかを測る分析手法であり、主に売上高利益率(粗利率、営業利益率など)や資本利益率(ROA:総資産利益率、ROE:自己資本利益率など)といった財務指標を用いて評価します。
これらの指標を時系列で比較したり、同業他社と比較したりすることで、企業の稼ぐ力の強さや課題を把握し、経営改善や企業価値向上につなげることが可能です。
主な評価指標
収益性を評価する指標には、以下の2つの側面があります。
売上高に対する利益率
企業が売上を上げるために、どれだけのコストがかかり、どれだけの利益を生み出しているかを分析します。
- 売上高総利益率(粗利率):売上総利益(売上高-売上原価)が売上高に占める割合を示し、商品の販売マージンが高いかどうかを評価する
- 売上高営業利益率:営業利益が売上高に占める割合を示し、本業での収益力を評価する
資本(資産)に対する利益率
企業が保有する資産を、どれだけ効率的に利益に変えているかを評価します。
- ROA(総資産利益率):総資産に対してどれだけの利益を上げられたかを示し、資産活用の効率性を測る
- ROE(自己資本利益率):株主からの投資(自己資本)に対して、どれだけ効率的に利益を返しているかを示し、株主資本の活用効率を評価する
評価方法と活用方法
- 時系列比較:過去の自社のデータと比較することで、収益力の変化や傾向を把握する
- 同業他社比較:同じ業界の企業と比較することで、自社の強み・弱みを客観的に評価し、市場での競争力を測る
- 要因分解:分析結果をさらに詳細に分解し、収益性に影響を与えている具体的な要因(コスト、価格戦略、業務プロセスなど)を特定する
これらの分析結果に基づいて、コスト削減、価格戦略の見直し、業務プロセスの効率化、新しい製品・サービスの開発など、具体的な収益向上策を検討・実行することで、持続的な企業価値の向上を目指します。
まとめ
投資物件の評価とは、その不動産から将来得られる利益や、現在の建物を再建築する場合にかかる費用、市場での取引事例などを基に、その物件の「価値」や「価格」を客観的に評価することです。特に収益物件では、物件そのものの価値に加えて「将来どれだけの収益を生み出すか」という収益性に着目して評価され、主な手法として「収益還元法」「取引事例比較法」「原価法(積算評価法)」などがあります。
投資用マンションの収益性を評価することで、物件の価格算出や売却のタイミングの見極めなど、不動産投資を成功に繋げるための判断材料となります。金融に関するアドバイスについて、適切な方法で見極めるために専門家に相談いただくことが望ましいでしょう。


