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査定の基本⑰ 路線価の活用:相続税評価額との関係

路線価

路線価とは、道路に面する土地の1平方メートルあたりの評価額のことで、主に相続税や贈与税を計算する際に用いられます。毎年7月1日に国税庁が発表する路線価図で確認できます。

路線価は、土地の相続税評価額を算出する際の基準となるため、不動産を所有している場合は、路線価を理解しておくことが重要です。また、相続税や贈与税の計算、金融機関での不動産ローン申請などに使用されます。

概要

  1. 定義:路線価は、道路に面する標準的な宅地の1平方メートル当たりの価格を指す
  2. 用途:相続税や贈与税の算定、固定資産税の評価などに用いられる
  3. 発表時期:毎年7月1日に国税庁が発表する
  4. 発表場所:国税庁のホームページで公開される路線価図で確認できる
  5. 評価時点:路線価は、毎年1月1日時点の評価を基に算出される
  6. 評価方法:路線価は、公示地価や基準地価などを参考に、おおよそ公示価格の8割程度で設定される

種類

  1. 相続税路線価:相続税や贈与税の算定に使用される
  2. 固定資産税路線価:固定資産税や都市計画税の算定に使用される

確認方法

  1. 国税庁の路線価図:国税庁のホームページで公開されている路線価図で、対象の土地が面する道路の路線価を確認する
  2. 全国地価マップ:全国地価マップでも路線価を確認できる
  3. 路線価図:道路ごとに1平方メートルあたりの価格(千円単位)が記載されており、借地権割合も併記されている

計算方法

路線価を使った土地の評価額の計算方法は、基本的に「路線価×土地の面積×各種補正率」で算出されます。路線価は、道路に面する標準的な宅地の1平方メートルあたりの価額で、国税庁の路線価図で確認できます。土地の形状や道路との関係性に応じて、奥行価格補正率や側方路線影響加算率などの補正率を適用します。

計算の流れ

  1. 路線価の確認:まず、評価する土地に面する道路の路線価を路線価図で確認します。路線価は通常、千円単位で表示されています。例えば、路線価が「200D」と表示されている場合、1平方メートルあたりの価格は20万円
  2. 土地の面積:評価する土地の面積(平方メートル)を算出する
  3. 奥行価格補正率の確認:土地の奥行距離が、路線価図に記載されている標準的な奥行距離と異なる場合、奥行価格補正率を適用します。奥行価格補正率は、国税庁のウェブサイトで確認できる
  4. 側方路線影響加算率の確認:土地が2つの道路に面している場合、正面路線以外の道路(側方路線)の路線価に側方路線影響加算率を掛けて、正面路線価に加算します。側方路線影響加算率も、国税庁のウェブサイトで確認できる
  5. 評価額の算出:上記の情報を基に、以下の計算式で土地の評価額を算出する
    • 1つの道路に面している場合:評価額 = 路線価 × 土地の面積 × 奥行価格補正率
    • 2つの道路に面している場合:評価額 = (正面路線価 + 側方路線価 × 側方路線影響加算率) × 土地の面積 × 奥行価格補正率

例)

例えば、路線価200D(20万円/㎡)の道路に面し、奥行距離が20m(奥行価格補正率1.00)、面積が100㎡の土地の場合、評価額は以下のようになります。
評価額 = 20万円/㎡ × 100㎡ × 1.00 = 2,000万円

活用方法

路線価の活用方法には、次のようなものがあります。

  1. 相続税や贈与税の計算:土地に面している道路の路線価を用いて、相続税や贈与税の評価額を計算します。路線価は、国税庁が毎年7月1日に公表しており、その土地の相続税評価額は1平方メートルあたりの路線価にアルファベット(借地権割合)を掛け算することで算出できる
  2. 不動産ローンの申請:路線価の高い土地は担保価値が高いため、金融機関からの融資を受けやすいというメリットがある
  3. 土地の価格の指標:路線価は土地取引の指標として用いられており、公示地価の約8割程度の価格が路線価となるよう調整されている

相続税評価額

相続税評価額とは、被相続人が遺した財産の金銭的価値を評価し、相続税を計算するための基準となる額のことです。相続税の金額を算出するためには、まずこの評価額を正確に求める必要があります。不動産・現金・株式などの相続財産ごとに評価方法が決まっており、不動産の場合には土地や建物を対象に具体的な計算方法が存在します。この評価額は、国税庁が定めた基準に基づいて算定され、相続税の計算では、市街地などの土地は「路線価」を使って相続税評価額を算出します。 

固定資産税評価額や実勢価格との相違点

相続税評価額は、固定資産税評価額や実勢価格と異なります。固定資産税評価額は、不動産の固定資産税を算出するために市区町村が定めた評価額です。一方、実勢価格は市場で売却を行う際の実際の取引価格を指します。これらと比べて相続税評価額は、相続税計算を目的としており、土地の場合には主に路線価方式や倍率方式を用いて算定されます。このため、同じ不動産でも評価する目的や基準に基づいて異なる金額となる場合があることを理解しておく必要があります。

相続税評価額が必要となるケース

相続税を計算する場合、相続税評価額が必要になります。相続が発生すると、被相続人の遺産に対して相続税の支払いが必要かどうかを判断するために、各財産の評価額を算定します。不動産などの高額資産が含まれる場合は特に重要です。また、相続税以外にも、遺産分割協議や不動産の売却・譲渡時にもこの評価額を基準とすることがあります。これにより、相続人間で公正な分割ができるだけでなく、税務申告においても正確な対応が可能になります。

まとめ

路線価は、あくまで土地の評価額の基準となるものであり、実際の売買価格(実勢価格)とは異なる場合があります。路線価が設定されていない地域では、評価倍率表を用いて評価額を算出が必要となります。土地の状況(形状、間口、奥行など)によって補正される場合があり、路線価の理解は、不動産の相続や贈与、資産評価において重要です。

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