
法改正の動向
2025年には、不動産業界に関連する複数の法改正が予定されており、業界に大きな影響を与えると予想されています。
主な改正内容は、以下の通りとなります。
1. 建築基準法および建築物省エネ法の改正(2025年4月施行)
2025年4月1日以降、すべての新築住宅・非住宅建築物に対して、省エネ基準への適合が義務付けられます。
この義務は新築だけでなく、増改築にも適用されますが、修繕や模様替え(リフォーム)は対象外です。
これに伴い、中規模以上の住宅に適用されていた届出義務制度や、小規模住宅・非住宅に適用されていた説明義務制度は廃止されます。
2. LPガスの三部料金制の徹底(2025年4月2日施行)
液化石油ガス法の改正により、2025年4月2日からLPガスの料金体系として、基本料金、従量料金、設備料金からなる三部料金制の徹底が求められます。
これにより、エアコンやWi-FiなどのLPガスと関係のない設備費用の計上が禁止され、賃貸物件においてもガス器具などの設備費用の計上が禁止されます。
3. 宅地建物取引業法の改正(2025年1月1日施行)
2025年1月1日から、宅地建物取引業法の改正により、物件の「囲い込み」が指示処分の対象となりました。
宅建事業者は、レインズへの物件の取引状況の登録が義務付けられ、売主に対して最新の取引状況を説明することが求められます。
これにより、売主が物件の取引状況を確認しやすくするため、レインズのシステム改修が行われています。
4. 住宅セーフティネット法の改正(2025年秋頃施行予定)
高齢者や低所得者などの住宅確保要配慮者が賃貸住宅にスムーズに入居できるよう、住宅セーフティネット法の改正が2025年秋頃に予定されています。
主な改正内容は、大家が賃貸住宅を提供しやすくする市場環境の整備、居住支援法人等による入居中サポートの促進、住宅施策と福祉施策の連携強化などです。
不動産取引への影響
法改正が不動産取引に与える影響は、改正の内容によってさまざまですが、主に以下の点に影響を及ぼします。
1. 契約手続きの変更
・重要事項説明の方法が変わる(電子契約の導入など)
・必要な書類の追加や変更
・手続きの簡素化または厳格化
2. 取引の透明性向上
・仲介業者の説明義務が強化される
・不動産価格の適正化(例えば、固定資産税評価額の変更)
・消費者保護の強化(不当契約の無効化など)
3. 税制の影響
・不動産取得税、固定資産税の変更
・投資用不動産の税制優遇の見直し
・相続税、贈与税の改正による影響
4. 住宅ローンや金融制度への影響
・住宅ローン控除制度の変更
・金融機関の審査基準の変更
・低金利政策の影響
5. 土地や建物の利用制限
・都市計画法や建築基準法の改正による用途制限の変更
・再開発や空き家対策の強化
・地方創生に向けた規制緩和
6. デジタル化・IT化の促進
・電子契約・電子登記の導入
・オンライン不動産取引の普及
・AI、ブロックチェーン技術の活用
まとめ
これらの法改正は、不動産業界に大きな影響を与えると考えられます。
取引の際の透明性向上や省エネ対応の強化、入居者支援体制の整備などが求められ、各改正の最新の内容を十分に理解し適切な対応を行うことが重要です。
また、最新の法改正内容によって具体的な影響が異なるため、関心のある改正事項について詳しく知りたい場合は、具体的な法律や施行時期を確認することが望ましいでしょう。