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専門知識⑥ 高さ制限の実際:地域別の規制内容

高さ制限における地域別の規制

日本における高さ制限の規制は、都市計画法や建築基準法によって定められています。

地域によって異なる規制があり、用途地域や地区計画、高度地区指定などの要因が影響します。

主な高さ制限の種類と地域別の規制内容は、以下の通りとなります。

1. 高さ制限の主な種類

① 建築基準法による制限

・道路斜線制限:建物が道路に面する場合、一定の角度内に収める必要がある

・隣地斜線制限:隣地との関係で高さを制限し、圧迫感を軽減する

・北側斜線制限:主に住宅地で北側の建物に影響を与えないようにする

② 用途地域ごとの制限

用途地域ごとに建築可能な高さが異なり、以下のような制限があります。

・第一種、第二種低層住居専用地域:10mまたは12mの最高高さ制限

・中高層住居専用地域、商業地域:高度地区の指定がなければ特に制限なし

・工業地域、準工業地域:建ぺい率や容積率に応じて高さが決定

③ 高度地区指定

都市計画で「高度地区」に指定されると、さらに厳しい高さ制限が課されます。

・第一種高度地区:10mまたは12m制限(低層住宅向け)

・第二種高度地区:15m〜20m程度の制限

・第三種高度地区:制限なしのことが多い

2. 地域別の高さ制限の実例

【東京都】

・千代田区、中央区、港区(都心部):商業地域が多く、厳しい高さ制限は少ないが、景観規制あり

・世田谷区・杉並区(住宅地):低層住居専用地域が多く、10m〜12m制限の地域が多い

・湾岸エリア(豊洲・品川など):タワーマンションが多く、特別な規制が適用される場合あり

【大阪府】

・梅田、難波エリア:商業地域が多く、高層建築が可能

・吹田市・豊中市:住宅地域が多く、高さ制限あり(主に12m程度)

・大阪ベイエリア:再開発地区では高層建築が認められやすい

【京都市】

・市中心部:景観条例により31m以下の高さ制限

・東山エリア:世界遺産保護のため15m程度の厳しい制限あり

【名古屋市】

・名駅、栄エリア:高層ビルの建設が可能

・郊外(守山区・緑区など):住宅地が多く、高さ制限あり

まとめ

・都市部の商業地域では高さ制限が緩やか

・住宅地では10m〜12mの低層制限が一般的

・歴史的、景観保護地域では厳しい制限がある

・再開発エリアでは例外的に高層建築が可能

具体的な規制内容は各自治体の条例で異なるため、建築予定地の各自治体の公式情報を確認することが重要です。

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